〜その歴史・特性・用途までを詳しく解説〜

炭の中でもひときわ名の知られた存在である「備長炭」。焼き鳥店や高級和食店などで使われるイメージを持つ方も多いかもしれませんが、備長炭の魅力はその燃焼力や香りだけにとどまりません。この記事では、備長炭とはどのような炭なのかを掘り下げてご紹介します。製造方法から使い道、消臭や調湿といった生活に役立つ効果まで、幅広くお伝えします。


備長炭のはじまりと歴史的背景

備長炭のルーツは、江戸時代中期にまで遡ります。紀州藩(現在の和歌山県)に住む炭焼き職人・備中屋長左衛門が、ウバメガシという堅い木材を使ってつくった白炭が評判となり、「備長炭」と名付けられたのがはじまりです。

当時は薪や黒炭が主流だった時代に、白炭である備長炭の圧倒的な火持ちの良さや安定した燃焼温度が重宝され、茶道や料理の場で愛用されるようになりました。

現在でも、和歌山県田辺市を中心とする紀州地方が備長炭の本場とされています。「紀州備長炭」は地域ブランドとしても知られ、高品質な炭として国内外で高い評価を受けています。


備長炭の製造方法と特徴

備長炭は、他の炭とは製法が大きく異なります。一般的な黒炭とは異なり、「白炭」という分類に入る炭で、高温・短時間で焼き上げ、最後に窯口に空気を一気に送り込むことで急冷させます。この製法により、硬く締まった構造と銀白色の表面が特徴となります。

完成した備長炭は、以下のような特徴を持ちます。

  • 非常に硬く、叩くと金属のような澄んだ音を発する
  • 火持ちが良く、安定した高温を保ちやすい
  • 煙や匂いが少なく、焼き物の風味を損なわない
  • 吸湿性・脱臭性にも優れる

このような特性から、料理用途はもちろんのこと、近年では室内の調湿・脱臭アイテムとしても活用されています。

備長炭が料理にもたらす効果とは?

多くの料理人が備長炭を選ぶ理由は、その「遠赤外線効果」にあります。備長炭から発せられる遠赤外線は、食材の表面を素早く焼き固め、内部の旨みや水分を閉じ込めるのに効果的です。そのため、焼き鳥やうなぎ、ステーキなどを香ばしく仕上げるのに適しています。 また、煙がほとんど出ないため、食材の香りを邪魔せず、炭の自然な芳香だけがふんわりと食欲を引き立ててくれます。


備長炭の消臭・調湿効果とそのメカニズム

備長炭の内部には、無数の微細な孔(穴)が空いています。この「多孔質構造」により、空気中の湿気やニオイ成分を吸着する力が非常に高くなっています。

たとえば以下のような場面で使われています。

  • 下駄箱やクローゼットに置いてニオイを吸着
  • 湿気のこもりやすい押し入れの調湿対策
  • トイレや玄関などの空間の空気清浄

アスカコアテクノスでは、この特性を活かした「備長炭のパウダー加工」も行っており、粉末状にすることで吸着力をさらに高め、化粧品や石けん、園芸用土など多用途での活用が進んでいます。


茶道や火鉢文化との関わり

備長炭は、ただの燃料としてだけでなく、日本の伝統文化とも深い結びつきがあります。茶道では、表千家・裏千家など各流派において、火加減や火付きの良さから炭点前に欠かせない存在とされています。

また、冬の室内暖房として使われてきた「火鉢」では、炎を上げずに静かに燃える備長炭が重宝されてきました。特に関西では、火鉢と備長炭の組み合わせは昔ながらの風情ある光景として今なお一部で親しまれています。


備長炭と「粉砕・パウダー加工」の可能性

近年、備長炭のニーズは燃料用途だけでなく、パウダー状に加工しての展開が注目されています。アスカコアテクノスでは、高度な微粉砕技術を活かし、備長炭を粒径レベルで調整しながら用途に応じた製品開発を進めています。

以下は、備長炭パウダーが活用されている一例です。

  • 脱臭フィルターやエアコンの内部フィルター
  • 土壌改良材としての園芸用炭
  • 炭石けんや炭洗顔などのスキンケア製品
  • インク・顔料・工業材料の原料としての炭粉末

パウダー加工された備長炭は、吸着力や拡散性が高く、従来の塊炭ではできなかった応用が広がっており、産業界でも注目されています。


本物の備長炭を見極めるために

市場には「備長炭風」の炭や、類似品も多く出回っています。純粋な紀州備長炭を見極めるには、以下のような点に注目しましょう。

  • 色が銀白色に近く、つやがある
  • 重くて密度が高い
  • 叩いた時に金属音のような高い音が出る
  • 燃焼中にパチパチと音がしない

信頼できる販売店からの購入を心がけることで、より安心して備長炭の効果を実感することができます。

まとめ

備長炭の本当の魅力とは

備長炭は、単なる炭の一種ではありません。そこには、300年にわたって受け継がれてきた職人の知恵と技術、自然の力、そして現代社会における機能性が融合した、日本ならではの素材美が宿っています。

アスカコアテクノスでは、この備長炭の持つ魅力を最大限に活かすべく、粉砕・微粉砕・パウダー加工の技術を用いて、新たな用途の開拓に取り組んでいます。伝統と革新が交わる備長炭の世界を、ぜひ身近に感じてみてください。