炭は、優れた吸着性や断熱性を持つ機能性素材としてさまざまな分野で活用されていますが、一方で粉砕加工が難しい素材でもあります。たとえば粒度のばらつき、粉末の飛散、設備への負荷、そして素材ごとの硬度や吸湿性の違いによって、標準的な粉砕機では安定した処理が難しいことも少なくありません。

アスカコアテクノスでは、木炭・竹炭・活性炭・コーヒーかす炭など、あらゆる炭素材に対応した粉砕技術を備えており、少量の試験粉砕から量産レベルの受託加工まで一貫して対応可能です。用途や素材の特性に合わせた最適な粉砕処理をご提案し、研究開発段階から製品化までを力強くサポートします。

炭とは?基本情報とその特性

炭とは、木材・竹などの有機物を、酸素の少ない環境下で高温加熱して炭化させた「炭素を主成分とする固体素材」です。その生成工程や原料の違いにより、性質や用途は大きく異なりますが、共通して以下のような優れた特徴を備えています。


炭の5つの基本特性

① 炭素含有率が高い

炭はその名の通り、炭素を主成分とした素材であり、炭素含有率は約80~95%にも達します。炭化温度が高くなるほど純度も上昇し、熱的・化学的に安定した性質を持つため、長期間劣化しにくく、再利用にも適しています。高い燃焼性を持つため、燃料としても有効です。

② 多孔質構造で吸着力が高い

炭はミクロサイズの空洞(細孔)を無数に持つ「多孔質素材」であり、1グラムあたり数百平方メートルにも及ぶ広大な表面積を持ちます。この構造が空気中や水中の不純物・臭気・有害成分などを効率的に吸着する力を生み出しています。

③ 素材ごとに性質が異なる

炭は一見似た見た目でも、素材や炭化方法によって性質が大きく異なります。たとえば黒炭は比較的柔らかく火付きが良いため燃料向き。白炭(備長炭など)は非常に硬く、通電性・抗菌性に優れ、工業・調湿用途にも適しています。竹炭は速やかな吸湿性が特長で、脱臭・調湿・農業資材としても人気です。

④ 種類が豊富で多様な原料に対応

炭には実に多くの種類があります。代表的なものとしては木炭、竹炭、活性炭、粉炭、コーヒーかす炭などが挙げられ、粉砕後に加工用途が広がるものも多くあります。原料の調達や副産物の再利用という観点でも、環境負荷の少ない持続可能な素材とされています。

⑤ 用途が非常に広い

炭は古来より燃料として親しまれてきましたが、現代ではその機能性が注目され、以下のような幅広い分野で活用されています。吸着性や抗菌性に着目した製品、また環境改善や健康用途など、応用可能性は拡大しています。

炭の種類と特徴

炭は、原料や焼成条件によって性質が大きく変わります。それぞれの炭素材には特有の機能があり、用途に応じた粉砕加工が求められます。アスカコアテクノスでは、以下のような多様な炭素材に対応可能です。

■ 黒炭(くろずみ)

原料例: ナラ、カシ、マツ、クヌギなどの広葉樹
炭化温度: 約400〜700℃
特徴:
黒炭は比較的低温で炭化された炭で、柔らかく火付きが良いのが特長です。内部には空洞が多く、保水性や通気性に優れるため、農業資材や土壌改良材、さらには調湿材としても活用されます。柔らかく粉砕しやすいため、微粉末化にも適しています。


■ 白炭(しろずみ)

原料例: ウバメガシ、カシ類(備長炭など)
炭化温度: 約1000℃前後
特徴:
白炭は高温で焼成され、非常に硬くて密度の高い炭です。金属のような硬質音を発するほどで、導電性や抗菌性、調湿性に優れています。粉砕加工には専用の高耐摩耗装置が必要ですが、当社では白炭の粉砕にも対応可能です。主に室内調湿材や電磁波対策、健康機器などで使用されます。


■ 竹炭(ちくたん)

原料例: モウソウチク、マダケ、ハチクなど
炭化温度: 約600〜800℃
特徴:
竹炭は竹を原料にした炭で、非常に軽量で吸湿性・脱臭性に優れています。多孔質でありながら、細孔の分布が均等で、表面積が広いのが特長です。洗顔料・石けん・脱臭パック、靴・衣類の練り込み用途、また農業や土壌改良材としても用いられています。


■ 活性炭(かっせいたん)

原料例: ココナッツ殻、木炭、竹炭など
炭化温度・処理: 800〜1000℃で炭化後、物理または化学的に活性化
特徴:
活性炭は特殊な処理によって孔(あな)のサイズや数を極限まで増やした炭で、吸着力が非常に高いのが最大の特長です。1gあたり500〜2000㎡の表面積を持ち、水・空気・ガス中の不純物や有害物質を除去します。粉砕後に濾過材・フィルター・脱臭カートリッジなどに使われます。


■ 粉炭(ふんたん)・炭粉末

原料例: 木炭、竹炭、バイオマス炭など
粒径:最小で数μm〜程度まで対応可能
特徴:
粉炭は、木炭や竹炭を細かく粉砕したものです。そのままでは使用しにくい炭素材を粉末化することで、さまざまな製品に練り込むことが可能になります。顔料・塗料・樹脂製品・化粧品・健康食品・農業資材・工業部品など、活用の幅は非常に広く、粒度によって機能性が変化します。


■ バイオ炭

原料例:有機性残渣
特徴:
バイオ炭は、廃棄される有機物を炭化して有効活用する新しい形の炭素材です。農地に還元することで炭素を土壌に固定し、CO₂排出量の削減=カーボンオフセットに貢献します。粒度調整により、播種や混合作業の効率化が図れるため、粉砕技術との相性も良い素材です。


ご希望があれば、各炭種に対応した粒度別サンプルのご提案、活用方法に応じた組み合わせ提案も可能です。

主な使用例(分野別)

分野活用例
脱臭・除湿シューズ・クローゼット用脱臭剤、冷蔵庫内の消臭剤、靴下・衣類への練り込み炭素材
水質浄化浄水器カートリッジ、水槽用フィルター、工場排水処理の吸着剤
空気清浄空気清浄機の吸着フィルター、PM2.5除去対応の活性炭層フィルター
農業土壌改良材(保水・通気・微生物活性化)、バイオ炭として炭素固定・CO₂削減
建材壁材・床材への炭粉末混入による抗菌・調湿効果、床下調湿材
健康・美容炭入り歯磨き粉、洗顔パック、炭石けん、デトックス用サプリメント
食品黒いパン・スイーツ・飲料などの色付け・腸内デトックス素材
工業鋳物製造の鋳型材、活性炭触媒、電子部品材料、電磁波遮蔽材
エネルギー燃料炭・補助燃料、バイオマス燃料、家庭用コンロ炭・アウトドア用燃焼材

このように、炭はその構造的・化学的性質から、さまざまな分野において機能素材として活用されています。とくに、粉砕によって粒度をコントロールすることで、表面積が拡大し、吸着性・分散性が飛躍的に向上します。その結果、使用用途が大きく広がるため、粉砕加工は「炭の機能を最大限に引き出すための重要な工程」と言えるのです。

アスカコアテクノスでは、こうした多種多様な炭素材に対応した粉砕加工技術を用いて、お客様の目的・用途に合わせた最適な粉砕方法をご提案いたします。

加工の流れ

以下の流れで、お客様のご要望に沿った炭粉砕加工を実施します。

  1. ご相談・ヒアリング
     炭素材の種類、最終用途、ご希望の粒度やロット数などを詳しくお伺いします。
  2. 試験粉砕の実施
     テスト粉砕を行い、粒度分布や物性を分析します。
  3. ご提案・お見積もり
     試験結果をもとに、最適な加工条件と費用をご提示します。
  4. 本加工の実施
     ご発注後、量産粉砕および分級・袋詰め・梱包まで一括で対応します。
  5. 納品・発送
     全国への発送に対応。必要に応じて継続的な定期供給も可能です。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 活性炭と普通の炭の違いは何ですか?
A. 活性炭は、炭をさらに高温で処理し、細孔(あな)を極限まで発達させた炭です。その結果、1gあたりの表面積が非常に広くなり、吸着性能が飛躍的に高まります。水の浄化、空気清浄、脱臭など、特に吸着力が求められる用途で多く用いられます。


Q2. 炭は腐ったり、劣化したりしますか?
A. 基本的に炭は非常に安定した素材で、適切に保管すれば腐ったり劣化したりすることはありません。湿度の高い場所に長期間置くとカビや臭気を吸収して機能が低下する場合があるため、通気性の良い環境での保管が推奨されます。


Q3. どれくらい細かく粉砕できますか?
A. 使用目的や素材の特性により異なりますが、当社では数μm(マイクロメートル)レベルまでの微粉砕に対応しています。必要に応じて粒度分布の調整や再試験も可能です。


Q4. 粉砕した炭はどのように使えばよいですか?
A. 用途によって使い方はさまざまです。農業では畑に撒いて土壌改良に、家庭では靴やクローゼットの脱臭に、健康・美容分野では石けんや歯磨き粉などに配合されるなど、多用途に活用されています。製品開発に応じて粒度や仕様をご相談ください。


Q5. 白炭や備長炭のような硬い炭も粉砕できますか?
A. はい。アスカコアテクノスでは高硬度炭にも対応可能な粉砕設備を保有しております。白炭や備長炭は硬く粉砕が困難とされていますが、目的に合わせた粒度に加工いたします。


Q6. 湿った炭素材でも粉砕できますか?
A. 含水率の高い炭は、粉砕時に詰まりや飛散などのトラブルが起こる場合があります。そのため、素材の状態に応じて適切な処理をご提案いたします。


Q7. 炭の種類によって粉砕条件は変わるのですか?
A. はい、炭の種類によって硬さ・比重・吸湿性・臭気などが異なるため、粉砕機器の種類や回転数、の条件などを細かく調整する必要があります。当社では素材ごとに最適な処理条件を設定して対応いたします。


Q8. 粉砕した炭の保管方法に注意点はありますか?
A. 粉砕後の炭は吸湿性・吸臭性が高いため、湿度の高い場所や臭気のある環境での保管は避ける必要があります。密閉容器や防湿袋を用い、常温・暗所での保管をおすすめします。


Q9. 粉砕した炭に使用期限はありますか?
→ 基本的には長期保存が可能ですが、用途によっては機能(吸着力・抗菌力など)が低下する可能性もあります。食品・化粧品原料などの場合は、一定期間ごとの性能確認をおすすめします。


Q10. 食品や化粧品に使える炭素材にも対応していますか?
A. はい。食品グレード・化粧品グレードの炭素材についても、異物混入防止対策を徹底した環境での粉砕に対応しています。用途に応じた品質管理体制についてもご相談いただけます。